確定申告のやり方
この部の 4 / 7 章 ・ 全体で 37 / 53 章 ・ 読了目安 28 分
- 申告に必要な書類を事前に揃えられる
- freee から e-Tax 送信までを自分で完了できる
- 納付方法を選んで期限内に払える
記帳が終わっていれば、確定申告そのものは2〜3時間で終わります。
逆に、記帳が終わっていなければ何日もかかります。 つまり確定申告の作業量は、その年の記帳習慣で決まっています(月次ルーティン)。
この章では、準備から送信・納付までの手順を通しで扱います。
準備するもの
【本人確認】
□ マイナンバーカード(e-Tax の最も簡単な方法)
□ または e-Tax の ID・パスワード(税務署で発行)
【収入】
□ 帳簿(会計ソフトに入力済み)
□ 支払調書(受け取っている場合。無くても申告できる)
□ 源泉徴収票(独立した年の給与分)
【控除証明書】
□ 国民年金保険料の控除証明書
□ 国民健康保険料の支払額が分かるもの(自治体により通知の有無が違う)
□ 小規模企業共済の掛金払込証明書
□ iDeCo の掛金払込証明書
□ 生命保険料・地震保険料の控除証明書
□ 医療費の領収書(集計表を作る)
□ ふるさと納税の寄附金受領証明書
□ 住宅ローンの年末残高証明書(該当者)
【その他】
□ 前年の確定申告書の控え
□ 納税用の口座情報(振替納税・還付先)
マイナポータルと連携すると、次のようなデータを申告書に自動で取り込めます。
□ 生命保険料控除証明書
□ iDeCo の掛金
□ 国民年金保険料
□ 医療費通知情報
□ ふるさと納税(対応ポータル経由の寄附)
初回の設定に30分ほどかかりますが、翌年以降が劇的に楽になります。
freee での申告手順
画面: 確定申告 → 「確定申告書の作成」
┌─ 確定申告 › 確定申告書の作成(2026年分) ────────────────┐
│ │
│ ① 基本情報 ✓ 完了 │
│ ② 収支の確認 ⚠ 未処理の明細が 3 件 │ ← ゼロにする
│ ③ 決算整理 ⚠ 家事按分・減価償却が未実施 │ ← 飛ばさない
│ ④ 残高の確認 ⚠ 普通預金が 12,000 円ずれています │ ← ここで止まる
│ ⑤ 所得控除の入力 — 未入力 │
│ ⑥ その他の所得 — 未入力 │
│ ⑦ 申告書の確認 — │
│ ⑧ 提出方法の選択 — │
│ │
│ [ ② から再開する ] │
└────────────────────────────────────────────────────┘
freee は質問に答えていく形式で申告書を作ります。
Step 1. 基本情報
氏名・住所・マイナンバー・提出先の税務署・申告する年分
Step 2. 収支の確認
未処理の明細がゼロか確認
売上・経費の集計を確認
Step 3. 決算整理([決算整理でやること](/chapters/year-end-closing/))
□ 家事按分の確定
□ 減価償却費の計上
□ 棚卸(該当する場合)
□ 貸倒引当金(任意)
□ 期ズレの処理
Step 4. 残高の確認
□ 預金・現金・売掛金・未払金の残高が実際と一致しているか([よくある登録ミスと直し方](/chapters/freee-mistakes/))
Step 5. 所得控除の入力
社会保険料・小規模企業共済・生命保険・医療費・扶養・寄附金
Step 6. その他の所得
給与所得(独立した年)・雑所得など
Step 7. 申告書の確認
□ 所得金額・課税所得・税額
□ 源泉徴収税額の合計が正しいか
□ 予定納税額(該当者)
Step 8. 提出方法の選択
e-Tax(マイナンバーカード方式 / ID・パスワード方式)または印刷して郵送
残高の確認を飛ばして申告すると、間違った貸借対照表を提出することになります。
金額が合っていない BS は、税務調査で最初に気づかれる箇所の1つです。 申告前に必ず、通帳残高と帳簿残高を突き合わせてください。
e-Tax での送信
マイナンバーカード方式
必要なもの: マイナンバーカード + スマートフォン(または IC カードリーダー)
1. freee の申告画面で「電子申告」を選ぶ
2. スマホアプリでマイナンバーカードを読み取る
3. 署名用電子証明書のパスワード(英数字6〜16桁)を入力
4. 送信 → 受信通知が返ってくる
マイナンバーカードの署名用電子証明書のパスワードは、 5回間違えるとロックされます。解除は市区町村の窓口でしか行えません。
3月14日にロックすると、期限内申告ができなくなります。 確定申告の直前ではなく、2月のうちに1度ログインして確認しておいてください。
ID・パスワード方式
税務署で本人確認をして発行してもらう(対面が必要)
マイナンバーカードが無くても e-Tax が使える
暫定的な措置とされているため、いずれマイナンバーカード方式に移行する前提で考えてください。
提出後にやること
□ 受信通知(メッセージボックス)を確認する
□ 申告書・決算書の PDF を保存する(控え)
□ 「納付情報」を確認する
□ 納税する
紙提出なら控えに収受印が押されますが、e-Tax では受信通知がその役割を果たします。
□ 融資の申込
□ 住宅ローンの審査
□ 保育園の入園申込
□ 各種の補助金申請
これらで「申告書の控え」を求められた時、申告書 PDF + 受信通知をセットで出します。 必ず保存してください(開業届と青色申告承認申請書の開業届の控えと同じ扱いです)。
納付方法
| 方法 | 特徴 | 期限 |
|---|---|---|
| 振替納税 | 口座引き落とし。4月中旬〜下旬に引き落とし | 事前に依頼書の提出が必要 |
| ダイレクト納付 | e-Tax から即時または日付指定で振替 | 3月15日まで |
| クレジットカード納付 | 決済手数料が自己負担 | 3月15日まで |
| インターネットバンキング | ペイジー | 3月15日まで |
| コンビニ納付 | QR コード。30万円以下 | 3月15日まで |
| スマホアプリ納付 | 上限あり | 3月15日まで |
| 窓口 | 現金 + 納付書 | 3月15日まで |
所得税 3月15日期限 → 4月中旬〜下旬の引き落とし
消費税 3月31日期限 → 4月下旬の引き落とし
延滞税もかからず、資金繰りに1ヶ月の余裕が生まれます。 一度手続きすれば以後も継続されます(税務署を変わる場合は再提出)。
引き落とし日に残高不足だと期限内納付になりません。カレンダーに入れてください。
還付になる場合
□ 源泉徴収税額が納税額を上回る
□ 予定納税をしていて、実際の税額が下回った
□ 独立した年で、給与の源泉徴収分が戻る
還付は申告書に記載した口座に振り込まれます(通常1〜2ヶ月程度)。
還付申告は1月1日から提出できます(2月16日を待つ必要はありません)。
間違いに気づいたら
| 状況 | 手続き |
|---|---|
| 期限内に気づいた | 訂正申告(期限内にもう一度提出。最後のものが有効) |
| 期限後・税額が増える | 修正申告(早く出すほど加算税が軽い) |
| 期限後・税額が減る | 更正の請求(原則5年以内) |
3月10日、freee で申告書を作り終えました。e-Tax で送信しようとしたところ、マイナンバーカードの署名用電子証明書のパスワードを忘れており、3回間違えました。あと2回でロックされます。どうすべきでしょうか?
この章のまとめ
- 申告の作業量はその年の記帳習慣で決まっている
- マイナポータル連携で控除証明書を自動取得できる。初回設定の価値は大きい
- freee は質問形式。決算整理と残高確認(Step 3・4)を飛ばさない
- マイナンバーカードのパスワードは5回でロック。2月のうちに確認しておく
- e-Tax の受信通知は収受印の代わり。申告書 PDF とセットで保存する
- 振替納税は実質1ヶ月の猶予。ただし引き落とし日の残高管理が必要
- 還付申告は1月1日から提出できる
- 間違いは訂正申告・修正申告・更正の請求で直せる。期限内提出を最優先する
参考資料
| 対象 | リンク |
|---|---|
| 国税庁 確定申告書等作成コーナー | https://www.keisan.nta.go.jp/ |
| 国税庁 e-Tax | https://www.e-tax.nta.go.jp/ |
| 国税庁 マイナポータル連携特設ページ | https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/mynumbercard/ |
| 国税庁 国税の納付手続 | https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/index.htm |
| デジタル庁 マイナンバーカード | https://www.digital.go.jp/policies/mynumber |