納税カレンダーと資金繰り
この部の 7 / 7 章 ・ 全体で 40 / 53 章 ・ 読了目安 18 分
- 年間の納税イベントを漏れなく把握できる
- 売上のうち何割を納税用に確保すべきか決められる
フリーランスが資金で詰む理由は、売上が無いからではありません。 払うタイミングを知らなかったからです。
□ 税金は、稼いだ年ではなく翌年に来る
□ しかも複数の役所から、別々の時期に来る
□ その頃には、そのお金は使ってしまっている
この章は、1年の支払いカレンダーと、先に避けておく仕組みの作り方です。
年間カレンダー
1月 ・支払調書・源泉徴収票が届き始める
・法定調書・償却資産申告(該当者)
・住民税 第4期
2月 ・確定申告の受付開始(2/16〜。還付申告は1月から)
・決算のドラフトを作り、納税額を把握する
3月 ・3/15 所得税の申告・納付
・3/15 贈与税の申告期限
・3/31 消費税の申告・納付
4月 ・振替納税の口座引き落とし(所得税は中〜下旬、消費税は下旬)
5月 ・(自動車税)
6月 ・住民税の通知 → 第1期
・国民健康保険料の通知(自治体による)
7月 ・所得税の予定納税 第1期(7/1〜7/31)
8月 ・住民税 第2期
・個人事業税 第1期
・消費税の中間申告(該当者)
9月 ・—
10月 ・住民税 第3期
・控除証明書が届き始める(生命保険・iDeCo・国民年金)
11月 ・所得税の予定納税 第2期(11/1〜11/30)
・個人事業税 第2期
12月 ・年内に判断すべきこと(後述)
・国民年金の前納・追納
・ふるさと納税
前年の所得税額(予定納税基準額)が15万円以上だと、 その年の所得税を前払いすることになります。
予定納税額 = 前年の予定納税基準額 × 1/3 を、7月と11月にそれぞれ納付
初めて予定納税の通知が来た年は、多くの人が驚きます。 前年並みに稼いでいる前提で請求されるためです。
予定納税を減らす方法
その年の所得が前年より大幅に減る見込みなら、
「予定納税額の減額申請」ができる(7月・11月それぞれに期限がある)
案件が切れた、体調を崩したなどで所得が下がる年は、必ず検討してください。
何割を避けておけばよいか
答え: 売上の 25〜35%(消費税の課税事業者ならもっと)。
売上 800万円・経費 150万円のケース(概算)
所得税 約 50万円
住民税 約 45万円
国民健康保険料 約 60万円
個人事業税 約 15万円
消費税(2割特例) 約 16万円
国民年金 約 21万円
────────────────────────────────
合計 約 207万円 ≒ 売上の 26%
本則課税の課税事業者なら、この割合はさらに上がります。
売上が入金される
→ その30%を、すぐ納税用の口座へ移す
→ 残り70%が「使えるお金」
これを機械的にやるだけで、納税で詰むことはほぼ無くなります。
ポイントは、判断を挟まないことです。「今月は苦しいから来月に」を許すと、 仕組みとして機能しません。
納税用口座の作り方
□ 事業用口座とは別に、納税専用の口座(または定期預金)を作る
□ 入金があったら、決めた割合を即座に移す
□ その口座からは、税金と社会保険料以外を払わない
□ 年に1回、残高と実際の納税額を突き合わせて割合を調整する
特に消費税は、顧客から預かったお金です(消費税の仕組み)。
売上330万円(税込)を「330万円の売上」と認識する → 事故
売上300万円 + 預かった消費税30万円 と認識する → 正常
課税事業者になった年から、受け取った消費税は最初から別枠にしてください。
12月に判断すること
年内でなければできない判断があります。
□ 30万円未満の資産を買うか(少額特例。[10万・20万・30万の壁](/chapters/asset-thresholds/))
□ 小規模企業共済の掛金を増額するか
□ iDeCo の掛金を年内に払い込むか
□ ふるさと納税をいくらするか(所得の見込みから上限を計算)
□ 国民年金の前納・追納をするか
□ 翌年の消費税の課税方式(簡易課税の届出は12/31まで。[2割特例・簡易課税・本則課税](/chapters/simplified-taxation/))
□ 未払いの経費を年内に払うか(発生主義なので計上時期は変わらないが、資金繰りに影響)
11月末時点の帳簿から、年間の所得を概算します。
1. 1〜11月の売上・経費を集計
2. 12月の見込みを加える
3. 所得控除の見込みを引く
4. 税額を試算する
この数字があって初めて、ふるさと納税の上限も、共済の増額も、 資産購入の是非も判断できます。年末の30分が、翌年の数十万円を左右します。
払えない時
□ 期限内に「納付相談」をする(税務署・都道府県税事務所・市区町村)
□ 換価の猶予・納税の猶予という制度がある(要件あり)
□ 分割納付が認められることがある
放置すると、
延滞税が付き続ける
督促状 → 財産調査 → 差押え(預金・売掛金)
売掛金を差し押さえられると、取引先に知られます。 事業の信用に直結するので、そうなる前に相談してください。
税務署は、相談に来る人には現実的な対応をします。逃げる人には厳しくなります。
独立1年目は所得400万円で、所得税は約25万円でした。2年目は所得が700万円に増える見込みです。2年目に備えて、資金面で最も注意すべきことは何でしょうか?
この章のまとめ
- 税金は翌年に、複数の役所から、別々の時期に来る
- 7月・11月に予定納税(前年の所得税額が15万円以上の場合)。所得が下がるなら減額申請
- 避けておく割合は売上の25〜35%(本則課税ならさらに上)
- 入金のたびに納税用口座へ移す。判断を挟まない仕組みにする
- 消費税は預り金。受け取った時点で別枠にする
- 12月に所得の見込みを出す。ふるさと納税・共済増額・資産購入・簡易課税の届出はここで決まる
- 払えない時は期限内に納付相談。放置すると差押えで取引先に知られる
参考資料
| 対象 | リンク |
|---|---|
| 国税庁 No.2040 予定納税 | https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2040.htm |
| 国税庁 予定納税額の減額申請 | https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2040.htm |
| 国税庁 納税の猶予制度 | https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/yuyo.htm |
| 国税庁 税務手続に関する情報 | https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/index.htm |