取引を登録する
この部の 4 / 6 章 ・ 全体で 20 / 53 章 ・ 読了目安 26 分
- freee の「取引」が仕訳のどの部分に当たるか説明できる
- エンジニアの典型的な支出を迷わず登録できる
- 現金・プライベート払いを正しく処理できる
freee の中心にあるのが「取引」です。 そして仕訳の型:借方と貸方で見たとおり、取引 = 仕訳です。
freee の入力 内部で作られる仕訳
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支出 / 未決済 / 通信費 → 借方: 通信費 貸方: 未払金
支出 / 完了 / 通信費 → 借方: 通信費 貸方: 普通預金
収入 / 未決済 / 売上高 → 借方: 売掛金 貸方: 売上高
収入 / 完了 / 売上高 → 借方: 普通預金 貸方: 売上高
「決済状況」の選択が、相手勘定を決めています。 これが分かれば迷いません。
入力画面のどこに何を書くか
画面: 取引 → 「取引の一覧・登録」→「取引を登録」

| 欄 | 何を入れるか | よくある間違い |
|---|---|---|
| 収入 / 支出 | 出ていくお金なら支出 | 売上の入金を「支出」にすると符号が逆になる |
| 発生日 | 経費・売上が発生した日 | 支払日を入れてしまう。年末年始は期ズレの原因(現金主義と発生主義) |
| 勘定科目 | 何の費用か(勘定科目の地図) | 迷ったら雑費、をやると説明できない帳簿になる |
| 金額(税込) | 税込経理なら税込金額 | 10万円の判定が経理方式で変わる(10万・20万・30万の壁) |
| 決済ステータス | 支払い済みなら決済済み、未払いなら未決済 | カード払いは利用時点では「未決済」 |
| 口座 | 実際に払った口座・カード | 私費で払ったなら「プライベート資金」(=事業主借) |
| 決済期日 | 未決済のときの支払予定日 | 空欄でも登録はできるが、入れておくと支払管理に使える |
| 取引先 | 支払先・請求先 | 売掛金の管理に必須(請求書・売掛金・入金消込) |
| 品目・部門・メモタグ | 案件名・サービス名 | 案件別の採算を見るときに効く(単価の決め方) |
| 備考 | 目的(誰と・何のために) | 空欄のまま。3年後の自分は覚えていない |
税区分・ファイルの添付・1つの支出を複数科目に分けたい場合は、 「詳細登録」から入力します。
Amazon で「技術書 3,000円 + ケーブル 1,200円」をまとめて買った場合、 明細行を追加して1つの取引の中で分けられます。
明細1 新聞図書費 3,000
明細2 消耗品費 1,200
合計 4,200 ← 決済額と一致していれば登録できる
取引の入力項目
| 項目 | 意味 | 注意 |
|---|---|---|
| 収支 | 収入 / 支出 | — |
| 発生日 | 経費・売上が発生した日 | 支払日ではない(現金主義と発生主義) |
| 決済状況 | 完了 / 未決済 | 未決済なら売掛金・未払金が立つ |
| 決済日・決済口座 | 実際にお金が動いた日と口座 | — |
| 勘定科目 | 勘定科目の地図 | — |
| 税区分 | 課税・非課税・不課税・対象外 | 課税事業者は特に重要(第5部) |
| 金額 | 税込 or 税抜(設定による) | 経理方式は最初に統一する |
| 取引先 | タグ | 売掛金の管理に必須 |
| 品目・メモタグ | 任意のタグ | 案件別採算の分析に使う |
| 備考 | 自由記述 | 按分の根拠・目的をここに書く |
接待交際費 12,000円
備考: 「〇〇社 △△様と要件定義の打ち合わせ(新宿・□□)」
税務調査で問われるのは「誰と、何のために」です(税務調査に備える)。 3年後の自分は絶対に覚えていません。入力時に1行書くのが最も安いコストです。
エンジニアの典型パターン
1. クラウド・SaaS の月額(カード払い)
支出 / 発生日: 利用月の末日 or 請求日 / 未決済 / 通信費 / 決済口座: カード
2. 技術書を買った(カード払い)
支出 / 未決済 / 新聞図書費 / 取引先: Amazon
3. 10万円未満の周辺機器
支出 / 未決済 / 消耗品費
4. 10万円以上の PC
支出 / 未決済 / 工具器具備品(資産)
→ その後、固定資産台帳に登録して減価償却([減価償却](/chapters/depreciation/))
→ 30万円未満なら少額減価償却資産の特例も検討([10万・20万・30万の壁](/chapters/asset-thresholds/))
免税事業者・税込経理 → 税込金額で判定
課税事業者・税抜経理 → 税抜金額で判定
税抜99,000円(税込108,900円)の機材は、 税抜経理なら消耗品費、税込経理なら固定資産になります。
経理方式は事業所設定で決まります。自分がどちらか把握しておいてください。
5. コワーキングスペースの月額(口座引き落とし)
支出 / 完了 / 地代家賃 / 決済口座: 事業用口座
6. 打ち合わせのカフェ代(現金)
支出 / 完了 / 会議費 / 決済口座: 現金
備考: 「〇〇社 打ち合わせ」
7. プライベートのカードで払った経費
支出 / 完了 / 消耗品費 / 決済口座: プライベート資金
→ 仕訳は「消耗品費 / 事業主借」になる
8. 生活費を事業用口座から引き出した
支出 / 完了 / 事業主貸 / 決済口座: 事業用口座
9. 案件の請求(源泉徴収あり)
請求書・売掛金・入金消込で詳しく扱いますが、基本形はこうです。
収入 / 未決済 / 売上高 300,000 / 取引先: 〇〇社
源泉徴収税額 30,630 を設定(freee は請求時に源泉徴収を設定できる)
→ 入金時に 269,370 円と突き合わせる
10. 交通費(IC カード)
支出 / 完了 / 旅費交通費 / 決済口座: 現金
備考: 「〇〇社訪問(新宿→品川)」
IC カードの利用履歴は、駅の券売機やアプリで取得できます。 日付・区間・目的が分かる記録を残しておけば、按分も説明も楽になります。
ファイルボックス(証憑の添付)
freee にはファイルボックスがあり、レシートや請求書を取引に紐づけられます。
□ スマホアプリで撮影 → ファイルボックスへ
□ PDF の請求書 → ドラッグ&ドロップ
□ メールの添付ファイル → 転送で取り込める場合もある
電子帳簿保存法への対応の観点でも重要です(証憑の保存と電子帳簿保存法)。
電子で受け取った請求書(PDF・Web からダウンロード)
→ 電子のまま保存する義務がある(紙に印刷して保存だけ、は不可)
「あとで撮る」は必ず溜まります。財布の中で溶けたレシートは復元できません。
その場でアプリを開いて撮る——これを習慣にするだけで、 年末の作業が数時間減ります。
家事按分の登録方法
freee では2通りあります。
方法1: 家事按分の設定を使う(推奨)
設定で「地代家賃 30%」と登録 → 決算時に自動で按分される
日々は全額を計上しておく
方法2: 入力時に事業分だけ登録する
家賃10万円のうち3万円だけを「地代家賃 / 事業主借」で登録する
両方をやると、按分が二重に効いて経費が過少になるか、 全額が経費に残るかのどちらかになります。
どちらか一方に統一してください。
入力を減らす工夫
□ 自動登録ルール(毎月同額の固定費のみ。[口座・カード連携と「自動で経理」](/chapters/freee-sync/))
□ 取引テンプレート(よく使うパターンを保存)
□ 一括登録(同じ科目の明細をまとめて処理)
□ スマホアプリでのレシート撮影 → 自動で金額・日付を読み取り
12月28日に税込15万円のモニタをクレジットカードで購入しました(引き落としは1月26日)。事業専用で使います。経理方式は税込経理、免税事業者です。この取引の登録として適切なものはどれでしょうか?
この章のまとめ
- freee の「決済状況」の選択が、そのまま相手勘定(未払金 / 売掛金 / 預金)を決める
- 発生日は支払日ではない。経費・売上が発生した日を入れる
- 備考欄に目的を1行書く。「誰と、何のために」が調査で問われる
- 10万円の判定は税込経理か税抜経理かで変わる
- プライベート資金での支払いは「プライベート資金」を決済口座に選ぶ(=事業主借)
- 生活費の引き出しは「事業主貸」の科目で登録する
- 証憑はファイルボックスに紐づける。電子で受け取ったものは電子のまま保存する
- 家事按分は設定を使う方法と、入力時に按分する方法を混ぜない
参考資料
| 対象 | リンク |
|---|---|
| freee ヘルプセンター | https://support.freee.co.jp/ |
| 国税庁 No.2100 減価償却のあらまし | https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm |
| 国税庁 電子帳簿保存法関係 | https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/ |